宗祖 親鸞聖人
750回御遠忌
御遠忌テーマ 『今、いのちがあなたを生きている』
答えのない問い
「いのちの尊さ」「いのちの大切さ」ということばをよく耳にします。このことを疑う人も否定する人もいません。では「尊いとか大切といっているいのちって何ですか」「あなたはいのちを尊いこととして生活していますか」と問われたらどうでしょう?
「今、いのちがあなたを生きている」という御遠忌テーマをもとに考えると、「無量無数の出会いの中で、自分が思い・語り・行動してきた結果としての今を、思いがけないことも含めて受け入れることができますか。未来を開く鍵としての今を、かけがえなない時としていきていますか」と問われてくると思います。
人間とは、人と人との関係を生きるものといういみで「人間(じんかん)の人」と言われます。人生は出会いです。好むと好まざるとにかかわらず、出会い(環境も含めて)の一つひとつを自分の中から消していったなら、自分の人生そのものが消えてしまいます。
この御遠忌テーマは、答えのない問いであり、「あなたがあなたのものであると思っているいのちより、限りなく深く広いいのちがあなたを生きていることに気づいて欲しい」という呼びかけでもあります。
親鸞聖人は「まことの信心のひとをよきひとと申す(真実信楽のひとをば是人ともうす)」と述べられ、本願の呼びかけに目覚め立つことが人間の要であると教えてくださいました。そしてそのことを「正しいおもい(正念)」とお示しくださっています。
この正しいおもいを失う時、私たちは生きながらにして、いのちの事実に背を向けてしまうのです。
楠 信生(17組幸福寺住職、前北海道教学研究所所長)