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原発問題班

原発問題班長 高橋 怜

原発問題は私の問題です
今期の原発問題班発足にあたり、前期においてテーマとして掲げられていた「原発問題 は私の問題です」ということを、いま一度学びの方向性として取り組んでいきたいと考え ております。
 1986年、チェルノブイリ原発において大事故が起きた時、まだ小学生だった私は目 に見えない放射能という毒があることに怯え、これから世界がどうなってしまうのだろう か、という漠然とした不安にとらわれたことを憶えています。しかし、生活していくうち 次第にその不安は薄れていき、30代になった私は、自分の身近にも原発があるというこ とにさえ考えを巡らせることもなく日々を過ごしていました。そんな日常を送る中で起き た、2011年の福島第一原発事故は、この国が原発に囲まれた国であるという事実から 、改めてこの問題に無関心であった私自身が問われるべき出来事であったと思います。
 にもかかわらず、福島の事故から6年が経ち、原発問題に携わるご縁を頂いたことで気 づかされたのは、この問題と正面から向きあって学ぶこともせず、ただただ自らの思いに 任せて問題の是非を考えてきた自分の考えの浅さであります。
 これは原発問題に限ることではなく、自分の生活に直接の影響を感じなければ、そこに 切実に関わっている人達がいることすら看過ごしていき、一時抱いた関心も日常生活の中 に埋没させていく、というのが自己関心でしかものを見ていない私の日頃のあり方ではな いかと感じます。だからこそ、「原発問題は私の問題です」ということを意識しながら学 ぶ必要があると思います。そしてこのことが、ともに学んでいく班の共通意識になればと の思いから、前期のテーマを踏襲したいと考えました。
 その上で初年度においては、前期の実行委員がされてきた学びを参考にさせていただき ながら、具体的な活動内容について、新実行委員諸氏から案を募り決めていきたいと考えております。

原発問題班員 
( 任期:2017年8月1日~2020年7月31日 )

班長高橋 怜(北3組 寶泉寺)
実行委員白山美法(4組 生振寺)
相河了秀(5組 安樂寺)
土山正徳(9組 勝光寺)
近藤孝司(函館別院)

2018年開催事業

第1回実行委員会
日時2018年7月23日(月)13時00~
会場教務所
内容1.『死刑制度と私たち』輪読
2.2018年度事業計画について
3.東京現地学習(10月12~14日)について
4.教誨師会・保護司会公開研修会参加 
  講師:吉村仁氏 テーマ:「矯正施設におけるマインドフルネス ~仏陀が実践していたセルフケアの可能性~」
所感・報告死刑制度問題班の現地学習が10月に迫っている。死刑未決囚の方への面会依頼について、誰にお願いしようかとか、思いが伝わるように手書きで書こうかとか、班の中で相談を進めていた。一つ一つ準備を進め、封書も送った。そのような中で、私自身は死刑未決囚の方にお会いすることが少しずつ怖くなってきた。それまで、新聞の向こうの世界に、何かの事件で捕まった凶悪な犯人がいるような思いでいたものが、血の通った一人の人間として、存在を少しずつ感じるようになってきた。手紙の返事が来ることも怖いし、もし会えるならば、会ってしまったら…。そういう思いが無関心者、傍観者たる私を作っているのだろう。揺さぶられる場所に居る。
実行委員 秋山 智
現地学習
日時2018年10月12日(金)~14日(日) 
会場東京拘置所、星陵ホール、明治大学博物館
内容・死刑未決囚3名と面会(@東京拘置所)

・世界死刑廃止デー企画「響かせあおう死刑廃止の声2018」に参加
(死刑廃止国際条約の批准を求めるFORUM90主催)

〇青木理氏(ジャーナリスト)、安田好弘氏(弁護士)による討議
「オウム13人執行で時代はどう変わるのか」
〇死刑執行停止・死刑制度廃止のための国会前キャンドルアクション参加

・明治大学博物館刑事部門見学
所感・報告 松本智津夫氏の遺体に二度対面した安田好弘氏は、オウム死刑執行について、「1910年の大逆事件時に12名の執行以来、初めての多数の「虐殺」であり、死刑を巡る状況は100年前に逆戻りした。オウムは何故事件を起こしたのか、ということもそうだが、何故事件を防げなかったのかという視点を考えるべき」と訴えた。
 青木理氏は、「松本氏が詐病でないとするなら、再審請求中また心神耗弱の者に執行してはならないという刑事訴訟法に反している」と指摘した。また、オウム執行前夜に首相や法相が酒盛りしていた件について、「人のいのちを奪うことへの恐れ・戸惑い・躊躇が薄らいでいる。世論においても、事件や今回の死刑執行も時が経ち忘れられつつある。無関心・人間感覚の喪失・いのちに対する喪失が危惧される」と述べた。
 安田氏が述べた「何故事件を防げなかったのか」という問いは、私自身がオウムの一人ひとりと関係存在であることを示唆している言葉である。「何故事件を防げなかったのか」と自身の無力さを痛感することはあったのか、オウムを対岸においてただ眺めているだけではなかったのか、考えさせられる討議であった。

班長 鳥宮隆法 
社会教化部門 全体学習会
日時2018年12月17日(月)15時 ~ 18日(火)11時30分
会場北海道教務所
内容『浄土論註』講義-二道釈・題号釈(真宗聖教全書一 279-280頁)
講師:金石晃陽 氏 (南第3組)
所感・報告社会問題に取り込む視座を、『浄土論註』に学んでいる。仏道を求める時、外道化(世間に迎合する在り方)と、「声聞」に象徴される観念化(社会から遊離している在り方)が、難行の具体性であると曇鸞は指摘している。また、外道化・観念化の根本問題こそが、「自力」にあると教示している。
外道化もしくは観念化に陥るからこそ、善悪に固執し、自らを顧みること無しに他方を批判するのではないか。そのような、賛成と反対、存置と廃止という二項対立を超える鍵こそが、法との出遇い、人(当事者)との出会いにあるのではないか。  
班長 鳥宮隆法
第2回実行委員会
日時2018年11月19日(月)14時30~
会場帯広別院
内容・教化基本方針・社会問題研究部会テーマについて~金浦部会長
・『死刑制度と私たち』輪読(64頁~)
・現地学習会事後協議
  死刑未決囚との面会について
 討議「オウム13人執行で時代はどう変わるか」(安田氏・青木氏)について
・「北海真宗」2019年4月号掲載予定 中間レポートについて
・第3回実行委員会について~19年2~3月 札弁連死刑廃止検討委員会との意見交換
・第4回実行委員会(班内学習)について~19年3~4月
  講師案:大山寛人さん(広島連続保険金殺人事件 被害者遺族・加害者家族)
所感・報告まず、金浦部長より2018年度教化基本方針・社会教化部門活動テーマの確認が為されました。
次に鳥宮班長より実効的な活動として、既に開催されましたが現地学習会に加え、これまでも意見交換を重ねてきました札幌弁護士会死刑制度廃止検討委員会様との意見交換に加え、班内学習会についての方針を頂きました。
 次に2018年10月12~14日に行われました現地学習会の確認・意見交換・各自の所感報告等が行われました。面会を行った班員各位の所感は「会う前はどんな人なのか少し怖くも感じていたが、会ってみるとあまりにもそのあたりを歩いている人と変わりないことを感じた。」や「むしろ、何だか大人しくて本当にこの人が殺人を疑われているのかが不思議なほどだった」「話す内容を気にしていたら向こうから話しかけてもらった」などの感想や所感が述べられました。また、その中には「これまで家族と弁護士の面会以外ことわってきた方が、私どもが宗教者であることが理由であるのか、初めて第三者の面会を受け入れてくださった」などの貴重な経験をさせていただくことができました。また、このことから罪と罰との事柄を、人道性とは別に、自らの身に問い訪ねてゆかなくてはならないことを再確認することとなりました。
実行委員 楠宣生
社会教化部門 全体学習会
日時2019年2月26日(火)15時 ~ 27日(水)11時30分
会場北海道教務所
内容『浄土論註』講義-二道釈・題号釈(真宗聖教全書一 279-280頁)
講師:金石晃陽 氏 (南第3組)
所感・報告
所感・報告差別とは「どこまでも内に甘く優しい。そして外には辛く厳しい」私達の有り様によって生まれてくる」とご講師は仰られた。あらためて私の姿とは、自己においては弁明を繰り返す弁護士であり、他者に対しては厳しく追及する裁判官であると知らされる。
2日間に渡り、講義·座談と貴重な学習の場を頂いたことであります。
実行委員 圓浄照康
第3回実行委員会
日時2019年3月13日(水)15時00分~19時30分
会場北海道教務所及び札幌弁護士会館
内容1. 教務所にて
・札幌弁護士会死刑廃止検討委員会との意見交換について
・第4回実行委員会(班内学習会)について
・「北海真宗」2019年4月号掲載予定 中間レポートについて
・教化委員長会議班長プレゼンについて
2.札幌弁護士会館にて
・札幌弁護士会死刑廃止検討委員会との意見交換
所感・報告ある弁護士の方が「私が殺人者でもお寺さんは受け入れてくれますよね。私にはそういう認識があります」と仰っていました。宗教者を信頼しての言葉なのでしょう。また、弁護士の方でも被疑者から面会依頼がなければ、もしくは当日断られれば面会はできないのだと教えられました。昨年東京拘置所にて未決囚の方に面会できた事も、当たり前のことではないのだと思いさせられます。
私たちがすることは「仕事」ではなく「使命」なのだと感じます。しかし、あるオウム信者が言った「日本の寺は風景でしかなかった」という言葉を思い出します。見透かした私への言葉のように感じます。私たちはこの時代を生きるものとして、自らの信念が問われています。
実行委員 髙塚法章
第4回実行委員会及び班内学習会
日時2019年4月22日~23日
会場北海道教務所
内容・札幌弁護士会死刑廃止検討委員会との意見交換会 事後協議
・班内学習会事前協議
・班内学習会 講師 大山 寛人 氏(『僕の父は母を殺した』著者)
講題 「苦悩、葛藤の末にたどり着いた答え」)
・2018年度 総括
・2019年度 事業計画協議
所感・報告札弁死刑廃止検討委員会との意見交換会事後協議において、札弁による「死刑制度廃止宣言」について確認し、各自の感想が述べられました。札幌弁護士会の中でも、廃止検討委員会と被害者支援委員会との連携、そして会内全体で死刑制度への議論がいかに深まっていくのかが課題であることが分かりました。
 続いて班内学習会として、加害者家族かつ被害者遺族でもある、大山寛人氏の講話を聞き座談会を行いました。「私は死刑廃止ということをはっきりと言うことはできないですが、被害者家族が望まない死刑があるということを知ってもらいたい。加害者が本当に反省をして、罪の意識を背負って生きていくことは一番の刑になるとも私は思います」との言葉は、大きく印象に残りました。
実行委員 楠宣生
死刑制度問題班第1回実行委員会
日時2019年9月17日(火)14:30~17:45
会場帯広別院
内容『死刑制度と私たち』についての座談
今年度テーマについて
今年度事業について
福岡現地学習について
その他
所感・報告今年度第1回目の実行委員会を帯広別院をお借りして開催した。初回ということもあり、今年度の活動テーマを部会長ならびに班長の文章をもとに皆で確認した。
10月に行われる福岡での現地学習について、今回お会いする原田正治さんの著書ならびに同朋新聞に載せられた記事をもとに、事件の経緯や原田さんの心中の機微に触れさせてもらった。今回の現地学習では多くの方々との交流が予定されている。貴重な場を用意していただけたことに感謝し、福岡に向かいたい。
今年度は任期最終年度ということもあり、来春には公開講演会も予定している。広く発信していけるように班内にて議論を重ねていきたい。

圓浄照康

2017年開催事業

第1回実行委員会
日時2017年10月11日(水)
会場教務所
内容・自己紹介
・橋本駐在教導より北海道教区についての説明
・土山前班長より前期活動報告
・今期の活動についての協議
所感・報告前班長の土山氏、部会長の金浦氏より、前期原発問題班の活動および原発問題班設立の経緯等の説明をいただいた後、それぞれが現時点で原発に対して抱いている印象を語り合う。(概ねよく考えたことはないが反対という意見が多かったように見受けられた)その後、初年度に訪れたい場所として、福島と泊原発が挙がる。(その日の懇親会において全員での福島行きは断念)最後に自主学習の資料として2冊の課題図書を選定のうえ各自購入。
第2回実行委員会
日時2018年2月21日(水)
会場教務所
内容金石晃陽氏による『浄土論註』講義①
所感・報告講義中、「寝た子をおこすなというが、一体誰なのか。眠り続けているのは、お前自身ではないのか」との言葉が強く残る。
自分の不利益にならなければ関係のない問題として見過ごしながら暮らし続けていく。そういう私を改めて教えていただいた。
「北海道寺子屋合宿」学習会
日時2018年3月13日(火)
内容中手聖一氏(「避難の権利」を求める全国避難者の会 共同代表)による基調講演
所感・報告中手氏の講演で、今まで耳にしてこなかった福島から道内へ避難して来られた方々の実状に触れ、原発問題を考える上での新しい切り口をいただいた。更には、来年度の活動にも関わる新たな知己を得ることができた。
第3回実行委員会
日時2018年4月29日(日)
会場高橋班長宅
内容・現地学習の予習
・福島視察報告(班長)
・「寺子屋合宿」学習会参加報告(班長)
・座談
・活動についての協議
所感・報告まず現地学習に関わる予備学習として、岩内で活動をされている斉藤武一氏の講演DVDの視聴。その後、班長よりレポートを元に3月に実施された福島視察および「寺子屋合宿」学習会について報告。次に第一回実行委員会の際に選定した課題図書2冊を元に座談を行った。(なお座談時、欠席の近藤氏もLINEにて参加。)
現地学習
日時2018年4月30日(月)
会場泊原発・鳳翔寺
内容・泊原発視察
・共和町鳳翔寺にて中村ご住職より原発周辺自治体の活動等の話を伺う
所感・報告まず、泊原発(とまりん館)にて、職員の浅沼氏より解説を受けながらの視察。
1時間30分ほどをかけ原発の仕組みや、ほくでんが取り組んでいる安全対策などの説明をしていただいた後、原発構内に設置の展望台から原発建屋を見学。大きさに圧倒されつつ同時に、「原子力はお湯を沸かすためだけに使われる」という事実を考え合わせると、原発という施設の必要性に疑問を感じた。
退館後、共和町鳳翔寺さまを訪ね、ご住職が用意して下さった資料を参考にしながら、原発誘致に至る周辺自治体の歴史や、事故が起こった際の放射性物質の広がりなどについて学ばせていただく。原発周辺の断層についての話では、原発視察時に受けた説明との違いに驚き、立場の違う人が話すと、一つの事実が全く違うものになるということを再認識した。
第4回実行委員会
日時2018年6月28日(木)
会場教務所
内容・夏休み寺子屋合宿についての協議
・座談(テーマ「原発問題は私の問題です」)
・次年度事業についての協議
所感・報告まず、6月5日に実施された「寺子屋合宿合同企画会議」の内容をうけて、合宿にボランティア派遣される際の役割について確認をした後、今年度最終の実行委員会ということで、それぞれ事前に作成してきたレポートを読み上げて、一年の総括としての座談を行った。同じ班で活動していても、各々が異なった視点を持って、この問題と向き合っていることが確認できて、次年度以降につながる座談になったと感じている。
全体総括
内容2017年度全体総括
所感・報告前期原発問題班から「原発問題は私の問題です。」というテーマを踏襲してスタートした今期初年度であるが、関わってみて初めてこの問題が健康被害や経済に止まらず、非常に多岐に渡り入り組んだ問題であることを痛感した。その中で、何をもって「原発問題は私の問題」であると言えるのか、この班のテーマそれ自体が問いであるということを感じる。今まで原発を自分と無関係のものとして暮らしてきた私と、切実に原発問題と向き合って生きてこられた人、その二者に通底するものはあるのか。そのことを考えながら、手探りで学びの方向性を探してきた1年目であったように思う。
医者でも政治家でもない、科学者でも弁護士でもない。真宗僧侶としてこの問題とどう向き合うのか、そこに悩み、また悩むひとに向き合いながら今後班としての実働をしていきたい。