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靖国問題研究部会

靖国問題研究部会長 相河 朋昭

靖国問題に学ぶ~諸仏の声を聞く~
様々な社会問題があるが、その多くの問いは自分の身にふりかからなければなかなか自己の課題とならない。戦後(敗戦)七十二年の年になるが、その悲しい歴史の中を生きてこられた方々も少なくなるなか、私たちは戦争の歴史をどこまで学び知っているのでしょうか。知らないが故にわからない、わからないが故に無関心なのが今日の私の姿である。
 先日、いつものようにご門徒さんの月命日にお伺いさせていただいた。お参りが終わりお茶をいただいていると、初めて自分の父親が東南アジアの小さな島に出兵し亡くなられたお話しを聞かせていただいた。小さい時に父と分かれた寂しさや戦死した父のお骨が帰ってきても、中には石ころしか入っていなかった時の家族の深い悲しみ。今でも、地域の寺社や仏教会などで追悼法要が勤まれているが、未だ南国の小さな島に眠っていると思うと心が痛いと教えてくれた。
 後ではないのかもしれない。これから当部会では、靖国という問題をそれぞれの身近な視点から学び、どのような問いが自分の課題となったのかを学びあいながら、亡き人の声を「諸仏の声」として聞き開く歩みをしていきたいと思います。

靖国問題研究部会員 
( 任期:2017年8月1日~2020年7月31日 )

部会長相河朋昭(6組 光明寺)
実行委員江隈 智(南3組 廣徳寺)
足利智文(9組 法養寺)
山名万里(17組 淨蓮寺)
鍵主俊明(19組 聖光寺)

2018年開催事業

第1回実行委員会
日時7月3日(水)
会場北海道教務所
内容守城英照氏 講義
所感・報告部会内学習として、守城英照氏(札幌市 聖光寺住職)を迎え講義を賜りました。
講題は「靖国問題に学ぶ」。守城氏は26年前から組の靖国問題を学んでこられました。年表を使い改めて靖国150年の問題を丁寧にお話しされました。
そして、その靖国体質は「問わない。問われない。問わさない。」ことだと、戦争をするには軍備がいる。軍備とは戦争をする兵器がいる。その兵器を使う軍人がいる。軍人を作るには思想がいる。その思想が靖国神社であり、何も問わしめない靖国の錬金術を学んだ。
第2回実行委員会
日時12月6日(木)
会場北海道教務所
内容・北海道宗教者懇談会開催内容の確認
・旭川、政教分離集会全国大会依頼について協議
・高木顕明遠松忌法要現地学習会公募について協議
所感・報告今年度残りの活動として、2019年3月11日に開催予定の『北海道宗教者懇談会』内容の確認。また現地学習として明治に天皇殺害を計画したとして、まともな捜査や証拠もなく「大逆罪」で捕らえられ宗門から僧籍剥奪された高木顕明氏(平成8年 僧籍復帰)を偲ぶ『高木顕明遠松忌法要』参加を計画。
教区内にも公募し広く靖国問題を考えてもらうことを目的としたい。
第3回実行委員会
日時2019/1/31(木)
会場北海道教務所
内容『高木顕明師の事績に学ぶ』学習パンフレットを輪読。現地学習会行程や呼びかけ文の確認。第36回北海道宗教者懇談会の確認。政教分離訴訟全国集会の確認。
所感・報告明治に起きた「大逆事件」について学びながら高木顕明師の生涯を学ぶ。最後に『余が社会主義』を輪読・座談を行う。高木顕明師は地域社会のコミュニティーとしての寺院を抱えながら、念仏する僧侶として格闘の歩みをされたのではないかと想起する。
第36回 北海道宗教者懇談会に参加
内容・講師 島薗 進 氏(上智大学大学院実践宗教学研究科教授)
・講題 「天皇代替わり儀礼と信教の自由」
所感・報告国家神道は戦後も続いている。宮中三殿に行われる皇室祭祈や国家神道復興を目指す神社本庁のあり方を学ぶ。
第4回実行委員会
日時2019/4/18(木)
会場北海道教務所
内容5月10日教化委員長会議プレゼン読み上げ。万葉集「愛国」利用の歴史(新聞記事)。次年度に向けてディスカッション。『反戦僧侶三羽ガラス』(大東仁氏)配布。
所感・報告次年度計画が進まず難航。実行委員会後のやり取りによってようやく形が見えてきた。
第32回政教分離訴訟全国交流集会in東京
日時2019/5/24(金) ~25(土)
内容・講演「代替り」とマスコミ報道 中島啓明氏(記者)
・即位の礼、大嘗祭違憲訴訟報告(弁護団)
・各訴訟団体の報告や活動報告
所感・報告4月30日~5月1日の天皇代替わりにより元号が変わった。世間では、テレビや新聞等にて毎日過剰なお祭り報道に天皇は日本国国民の「統合」としての象徴と表現していた。国民を統合することが必要なのか。又、そのようなことが出来るのか。私たち一人ひとりが過剰報道による刷り込みや無関心ではいられないことを感じた。
旭川 政教分離集会
日時2019/6/5(水)
内容・講演 田中 伸尚 氏(ノンフィクション作家)
・講題 「思想・信教・表現の自由と未決の『大逆事件』」
所感・報告1900年(明治33年)に治安警察法を制定し1910年(明治43年)高徳秋水をはじめ26人が起訴され内12名が死刑となる大逆事件が起こる。
2012年に自民党憲法改憲案の第1条に天皇元首化が掲げられ、この度の天皇代替わりでは考えもなく祝賀ムードを作ってきた。もしかすると過去の過ちが現在でも再び呼び起されることがあるかもしれない危うさがあることを知る。また、大逆事件の被害者たちは現在の私たちに何を呼び掛けているのでしょうか。
現地学習会
日時2019/6/21(金) ~23(日)
内容「大逆事件」資料館オープニングセレモニー参加後、栗林確氏に「大逆事件」について講義を賜り、南谷墓地の顕彰碑前勤行。午後1時より『遠松忌法要~先を訪う 今、この時代に聞く非戦・平和の願い~』参加。講師は田中伸尚氏。講題は熊野「大逆事件」過去から未来へ。
所感・報告1910年6月に高木顕明師は逮捕され、7月に起訴。これを受け宗門は11月に師を「差免」し、その後「擯斥」にする。戦後宗門は1996年4月に師の遺族・門徒に謝罪し僧籍復活と処分取り消しを行い師の復権を願い毎年「遠松忌法要」を行う。
戦後過ちを知りながら直ぐに師を復権できなかったのは何故だろうか。また、高木顕明師の復権と言っているが、復権とは何をもって復権なのか。多くの課題をいただいた。
全体総括
内容【全体総括】昨年から「明治150年」「北海道命名150」とし政府主催や道主催の様々な式典や記念事業が開かれ、本年は今上天皇の退位・即位の儀式が国事行為として執り行われていきました。そのような時代の節目に、私たちは近代国家が誕生したという明治という時代より何が変わり、何が繋がっているのかを学ぶことが、混迷化した現代社会を深く認識することはできないのではないのかと強く思いました。また、今年度は、天皇代替わりの問題から天皇制の問題・政教分離の問題を多く学ばせていただき、現地学習会では、1910年(明治43年)に起きた「大逆事件」に連座させられた高木顕明師の『遠松忌』に参らせていただき、高木顕明師の事績に学んできました。
所感・報告【次年度への課題】1995年(平成7年)6月に真宗大谷派は宗議会・参議会において「不戦決議」を可決し、宗派として「非戦の誓い」をいたしました。その中に「安穏なる世を願い、四海同朋への慈しみを説いたために、非国民とされ、宗門から見捨てられた人々に対し、心から許しを乞う」と表明し各教区・各地域での非戦平和を生きようとした僧侶たちの事績を検証する取り組みが行われています。しかし、戦時下において私たちが道を踏み外した本当の理由は何なのか。反戦僧侶の生き方から、なぜ戦時下の厳しい統制化の中において非戦平和を貫くことができたのか。それはどのような出遇いから生まれてきたのかを反戦僧侶から学んでいきたい。

2017年開催事業

第1回実行委員会
日時10月5日(金)
会場北海道教務所
内容・顔合わせ
・今期学習の方向性について協議
所感・報告第7期靖国問題研究部会が4名の実行委員と共に新たに歩みだしました。
初めての実行委員会では、自己紹介と「靖国と私」というテーマをもとにそれぞれが課題としていることを発表しました。
例えば、自己の信心の問題や北朝鮮ミサイル問題。靖国問題は「外の問題」か「内なる問題」なのか。中島岳志氏の『親鸞と日本主義』について化身土巻を中心にたずねつつ考えていきたいなどがあげれ活発な語らいの場になりました。 これから3年間、それぞれの課題を大切にしながらそこに流れている共通した問題を部会として形にしていきたいと願いました。
第2回実行委員会
日時12月18日(月)
会場北海道教務所
内容・学習テーマを協議
・現地学習の日程調整
所感・報告当部会の方向性を考えるため、部会全体の課題としてのテーマがないか話し合われた。
キーワードとして「戦時教学」「自分が糾弾される側」「彼らと我ら」などか出たが、 靖国の深くて広い問を考え学んでいくと、出口のない袋小路に陥りどこに問題があるのか分からず暗くなります。
前期主宰の公開フォーラムにお迎えさせていただいた中島氏と佐野氏の示唆を大切に自己の「内なる靖国」を問題としながら、 暗くならずに「ただ念仏して、弥陀にたすけられまいらすべし」。 弥陀にたすけられなければならない身の自覚を忘れずにテーマを「内なる靖国」~弥陀にたすけられまいらすべし~という意見もでたが、 今期部会のテーマとなることからもう少し議論を重ねていこうとなりました。
第35回北海道宗教者懇談会
日時3月5日(月)
会場北海道教務所
内容講師 横田 耕一 氏(九州大学名誉教授)憲法学者
講題 『天皇退位騒ぎが私たちに突きつけたこと』
所感・報告憲法学者の視点から生前退位の問題を聞かせていただいた。
国の象徴として天皇と定められているが、私達がどれだけ天皇制の歴史や現在の公的行為(象徴的行為)の問題を知り考えたことがあっただろうか。
これから生前退位により元号か変わるが、テレビや新聞の情報だけではなく様々な視点から考えていきたいと思う。
第3回実行委員会(社会教化部門全体学習会)
日時4月16日(月)
会場北海道教務所
内容金石晃陽氏(社会教化部門幹事)による講義
現地学習
日時4月25日(水)~27日(金)
会場靖国神社(東京)など
内容東京の靖国神社を中心に文化センターアリランや東京大学安田講堂、求道会館などを見学。
アリランでは副理事長の宋富子(ソン・プジャ)氏から日本と朝鮮の歴史認識と活動の願いについてお話しを伺う。
今回感じた感覚が次年度に部会としてどう表現できるのか模索していきたい。
第4回実行委員会
日時5月17日(木)
会場北海道教務所
内容1、公開フォーラムの中島岳志氏講演録輪読
2、現地学習報告の確認
3、次年度の方向性の協議
4、6月5日旭川開催の「政教分離を考える北海道集会」参加
所感・報告 1年目を終えての実行委員から出た言葉として
「戦争とはどこまでも差別を生み出す構造そのものである」
「真宗の世界観に立って社会問題と向き合っていくことが大切であり、真宗の世界観とは大経の世界観・歴史観である」
「自分の外のことはよく見えるが、社会問題から内観し繋がっている視点が自分にはなかった」
「北海道開教と靖国問題をリンクして考えられないか」などが出された。
また、次年度は以前からある靖国のパネルをそれぞれの寺院に展示し見ていただいた門徒さんの声を聞き、それぞれが現場で靖国問題に立つことからスタートすることを話し合われた。
政教分離を守る北海道宗会
日時6月5日(火)
会場旭川トーヨーホテル
内容北海道護国神社の慰霊大祭に合わせて開催される、政教分離を守る北海道集会への参加。
講師木村草太氏(首都大学東京教授)講題「憲法と宗教の自由、政教分離」
所感・報告日本国憲法からみた宗教の定義を学び、先の戦争によって日本は政教分離を選び今日まで歩んできた。
しかし、津地鎮祭判決や愛媛玉串料訴訟判決などを挙げて未だに国家が宗教を利用していく姿はなくならないことを学ぶ。
また、他の宗教者と意見交換ができ、考える幅が広がった。
全体総括
内容2017年度全体総括
所感・報告第7期教化本部のスタートが始まり、当部会も新たに実行委員を迎え歩みだしました。靖国問題を協議し一つの学びの形を表現していく中で、まずはお互いが素直に話し合える関係を作れる事が、これからの活動に必要になってくると思いました。特に社会問題という身近でシビアな問題となると、正直な気持ちを言葉に表すことは難しく無難な当たり障りのない言葉を選んでしまう。そのような学びで終わることを避けるために初顔合わせでは、「靖国と私」という事前テーマのもとに発表とディスカッションを丁寧に行いました。

学習面では、前期部会で行われました公開フォーラムを文章に起こした学習資料の引継ぎもあり、中島岳志氏と佐野明弘氏の公開フォーラムの輪読をしています。そのような中で、中島氏の著書『親鸞と日本主義』が発売され、宗門の近代史が問題にあがるようになってきました。そのことを踏まえながら現地学習会では、靖国神社はもちろん東京大学、求道会館、浩々洞発祥の記念碑を現地視察できたことは学習の良いイメージができたように思う。又、在日朝鮮人の宋富子氏の出会いによって、先の戦争によって虐げられて生きてきた告白と正しい歴史認識こそが、この過ちを繰り返さない人間にとって何よりも重要なことだと熱く語り行動する宋氏に会えたことは、今後の学習意欲にも繋がったように思う。

記録や資料を通じての学習も大切だが、人に出合い現地に足を運ぶことによって靖国問題や宗門の近代史が私にとってどのようなイメージとリアリティーを持って学習することの大切さを学んだ年度となりました。