2023.06.13
真宗大谷派 東京教区教化委員会 同朋社会推進ネットワーク主催「災害演習」にてお話をさせて頂きました。
会場は真宗会館(東京都練馬区)にて、参加者は15名と対象地域(東京教区)の規模を考えると小規模でしたが、関心を持ってご参加いただいた方々との距離が近く、かえって身が引き締まる思いでした。
今後起こり得る「災害」に対して
①事前にどのような備えが必要か?
②発災後どのような行動が出来るのか?
③発災時 寺院に求められることや出来ることとは?
という上記3点について、宗派から発行されている「災害対策ハンドブック」をテキストに、主に「北海道胆振東部地震」における「北海道教区災害支援ネットワーク(通称じゃがネット)」の動きとその目的を踏まえてお話をさせていただきました。
要点をまとめると
・自分のいのちを守る行動が最優先(自助)
いのちに代わる大切なものはない
いのちを賭けて行う行動はない
・災害が起こった時に出来ることは思ったほど多くない
事前準備は有事の際の行動選択肢を増やす
今現在手元にあるものの点検を
工夫次第であるものでも出来る
ないものはあるところから借りるのも手段のひとつ
・共助は義務でも責務でもない 出来ることを出来るだけ
出来ないことは出来ない 自由意志によるもの
優先されるのは自分と身の回り(家族とか友人とか)
無理も無茶もしない 自己犠牲なんてもっての外
・災害支援(ボランティア)は強制(強要)するものでもされるものでもない
それぞれの状況によって出来ることと出来ないことがあって当たり前
したいこともあれば したくないこともある
出来る人が出来ることを出来るだけ
・支援を求める声に対して自分が(お寺が)何を出来るのか
社会から求められている(期待がある)のも否めない
そこにどの様に応えていくかを今回の様な研修会で確認し共有していく
また北海道胆振東部地震にて「じゃがネット」が行った支援活動の要点としては
・被災寺院からの情報開示を受ける=情報収集
・教区や組への情報伝達→被災寺院とは情報を共有
・宗派や教区との情報共有 被災寺院からの窓口
・被災寺院からの要請を受けて物資の手配や運搬
・SNSを活用した情報発信(目的は現況周知)
ニーズの変化に対応するために物資支援要請はしない
・特に大切にしたのは宗派⇄教区⇄じゃがネット⇄被災地や各支援団体との連携
まとめとして(上記以外で)
・行政や宗門(宗派)などの組織を活用(利用)する
宗派(本山)は当てにならないのではなく、当てにできる様な関係性を持ちましょう。個人の関係性で何とかなると言っても、その中には必ず宗門人がいるはず。宗派の看板の力は絶大。個人で持ち得ない関係性拡大に宗派の力を使いましょう。
・災害時に「助けて」と「助ける」を言える関係作りを大切にしましょう。人の繋がりは物理的な距離を超える。
以上の内容をお話しさせていただきました。
講義の後は判別ワークということで
「出来ること・出来ないこと」
「したいこと・したくないこと」
というテーマで座談をし、終了後に班発表を行い共有。
晩ごはんは「非常食の試食会」ということで
水で作ったわかめご飯・お湯で作った野菜ピラフ・パンの缶詰などを実食しました
日程終了後は会館内の場所を変えての懇親会で、ポータブル電源から電球(LED)を灯し、ツナ缶でロウソクを作り「災害演習」を行いました。
翌日は主にアンケートの振り返りを元に座談会を行い、被災寺院の写真なども確認しながら予定よりも30分ほど超えて終了。
中々伝えきれないこともあったり、話しているうちに思い出されることがあったりと
改めて確認させられることが多く、私にとっても大変有意義な研修会でした。
そして今回を縁として、東京教区で活動している方々と繋がりが出来たことが、今後起こり得る災害に対する何よりの実りであったと感じます。
報告:岸田理(第9組浄誓寺・じゃがネット代表)