- 日時3月26日(月)18時~20時
- 講師石原 真衣 氏(北海道大学大学院博士課程在学)
- 講題「サイレント・アイヌの物語」
近年、アイヌ文化の社会的認知と、アイヌ民族に対する差別は飛躍的に改善されました。私の曽祖母は唇の周りに入れ墨をしていたため、いつも差別的な眼差しにさらされた人生を送りましたが、現在、アイヌのクウォーターである私はそのような視線にさらされたことがありません。アイヌ民族自身が、アイヌ文化を継承し、民族として誇りを持って、現代を歩むことができるような社会状況になりつつあります。 しかし、このような状況の中で、置き去りにされている痛みがあります。それはアイヌの血を引きながら、アイヌの歴史や文化、他のアイヌの人たちに対して、親近感を持てず、家族ともアイヌの問題について語ることもできず、社会の中でたった一人沈黙する「サイレント・アイヌ」の心の痛みです。この講座では、サイレント・アイヌが辿ってきた100年の物語を、皆さまと分かち合い、どのように今より明るい未来を拓くことができるのかについて、共に新たな物語を紡いでいきたいと思います。