HOME教化本部からのお知らせ死刑制度問題班現地学習 5月9日~11日 in 東京

死刑制度問題班現地学習 5月9日~11日 in 東京

「次、いつ会いに来ますか?」この言葉は東京拘置所にて面会した死刑を求刑されている未決囚の発した言葉である。もちろん私に投げかけた言葉ではない。今回コーディネートいただいたフォーラム90の方へ向けた言葉であった。数多く面会する中で少しずつ積み重ねてきた信頼関係を目の当たりにさせていただいた。

今回の日程では2日間東京拘置所に赴き、死刑未決囚と会い、弁護士の安田好弘さんと映画監督の森達也さん、また「死刑廃止国際条約の批准を求めるフォーラム’90」の会員の方々とお会いし、死刑制度についてのご意見をいただいた。

未決囚との面会では、事前に3名の方々にお手紙を書き、面会の承諾を得て班員がそれぞれにお会いした。

東京拘置所は足立区の綾瀬駅そばにある。駅に近づいてくると電車の車窓よりスカイツリーが見え、その横に窓が塞がれた大きい建物が見えてくる。とても高圧的な印象である。お会いする未決囚の事件について事前に調べはしたが、直接会ってどんな会話ができるのか不安でいっぱいであった。

面会は番号で呼ばれる。検査場で手荷物を預け、長い廊下を歩き面会室まで行く。沈黙が続く重苦しい緊張感である。面会時間は20分間。少しも無駄にはできないという思いの中であっという間に過ぎた時間であった。

私が面会した未決囚の印象は、街中のどこにでもいそうな方であった。死刑判決のこと、家族のこと、今の拘置所での心境など率直にお話しくださったと思う。目の前にいる方は、根っからの極悪人には見えなかった。そして、このまま結審までいけば、いずれ死刑が執行される。

「取り返しのつかない冤罪は身近にありますよ。」と残りの時間が少なくなる中でそのように言われた。もしそうであるならば、当人とその関係する人々は耐え難い苦痛を生きなければならないと思うとゾッとした。面会帰りの廊下は、苦々しく、沈黙しかなかった。

安田好弘さんと森達也さんとの懇談会では、「死刑制度を取り巻く環境と法の問題点」について、オウム地下鉄サリン事件と和歌山カレー事件を通してお話をいただいた。

司法・警察・報道の在り方について、被害者家族・加害者家族についてなど話は多岐にわたったが、その中で印象的だったのは「私たちはどうしても人を殺した人を邪悪で凶暴で冷酷な人であると思いがちであるが、実際はそうではない。死刑制度を容認するなら、年に一度死刑囚に会ったらいいと思います。」「日本には穢れ意識(思想)なるものがあって、その対象者や家族に対して排除の意識を向ける。その意識について私たちはもっと考えなければならないと思います。」という話であった。

今回の現地学習はコロナ禍での行程であり慎重にならざるを得ない状況であったが、直接人に会い、聞き、知ることがどんなに私たちにとって大切なことなのかを教えられた。

会うことによって自分の先入観や価値観が問われる。問われると心が揺れ動く。揺れ動く心が何なのかを考え、尋ね直しすることがこの班内の学びであることを班員全員で確かめたことである。

(報告 九谷量)

【東京拘置所】

【面会整理表 面会手続きを行なうと渡される】

【面会をサポートしてくれたフォーラム’90の方々と班員】

【安田弁護士の事務所にて 安田弁護士と森達也氏よりお話いただく】

【フォーラム’90の方々との交流】

[ 2022.05.27 ] 死刑制度問題班