2012.10.04
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、多くの生命を一瞬にして奪い、広範囲に亘って甚大なる被害をもたらし、福島第一原子力発電所の事故による放射能汚染の深刻な事態は現在でも予断を許さない状況であります。被災地では今なお放射能という見えない恐怖に脅え続けなければならない生活を余儀なくされている方々がたくさんおられます。
原子力の平和利用という言葉に踊らされ開始した国策としての原発は、被曝労働者を虐げ、地域差別を助長し、新たな被曝者差別を引き起こし、人間の尊厳すら奪ってきました。
しかし、節電対策と原発の再稼動が取り沙汰され、あたかもエネルギー問題へと転化されていく風潮のなか、私たちは狭い自己関心に囚われ、原発の持つ問題の本質を見失っているのではないでしょうか。今こそ自らが生み出してきた現実を直視し、痛みと悲しみのなかから人間を取り戻さんとする歩みが求められています。
既に宗門では昨年12月「原子力に依存しない社会」を実現すべく内閣総理大臣に要望書が提出され、今年2月には宗議会において「すべての原発の運転停止と廃炉を通して、原子力発電に依存しない社会の実現を求める決議」が、参議会において「原子力発電に依存しない社会の実現を求める決議」が全会一致で可決されました。
北海道教区教化本部におきましても、原発問題を教区全体を挙げて担うべき重要な課題とし、去る2012年1月18~19日、真宗大谷派現地復興支援センター主任補佐の木ノ下秀俊氏を講師に迎え、教化本部と教区会学事教務委員会合同の研修会を開催しました。
木ノ下氏は「自分の中にある被災者であり、被害者であるという意識。でも、すべての大人達は子どもに対して加害者なのかも知れません。原発反対、賛成といった対立構造を超えていくような真宗人としての歩み。真宗門徒として、共々に考え、話し合う。それが真宗という視点ではないかと思います」と語られました。
この言葉を受け、「対立構造を超えていく真宗人の歩み」を具現化することを課題とし、このたび教区門徒会員研修会を開催します。原発問題を通して我々の問題性を学ぶと同時に、北海道教区における原発問題に対する取り組みの視座と方向性が語り合われる重要な研修会となりますので、是非ご参加ください。
記
1 テ ー マ 「対立構造を超えていく真宗人の歩み」~私にとって原発問題とは
2 日 時 2012年11月8日(木)午後1時半から9日(金)正午まで
※教区門徒会員を対象とした研修会ですが講義①8日の15時15分から17時まで及び講義②9日の8時30分から9時45分までは、どなたでも聴講が可能ですので、是非ご参加ください。
3 場 所 北海道東本願寺青少年研修センター
札幌市中央区伏見5丁目2番 ℡011-551-8697
4 講 師 清谷真澄氏(真宗大谷派現地復興支援センター主任)