2012.01.15
日 時 1月17日(火)午後6時~8時
会 場 北海道教務所 2階 講堂
講 師 木ノ下秀俊氏(真宗大谷派復興支援センター主任補佐・ 原町別院(福島健南相馬市)職員)講 題 「震災の中で出遇った親鸞聖人」
~講師メッセージ~
東日本大震災直後、私は家族とともに南相馬市から避難、山形県内の避難所で二月ほど避難生活を送りました。避難所にはさまざまな人たちが、さまざまな思いを抱きながら先の見えない日々を送っていました。それは震災から半年が過ぎ仮設住宅に移った今も変わりはありません。家を失くした人、仕事を失くした人、田畑を失くした農家、牛と牧場を失った酪農家、船を失った漁師、友人や知人を亡くした人、親や子や家族、愛する人を亡くした人、そして故郷を奪われた人々。
恵信尼さまのお手紙には、親鸞聖人が越後から関東に向かう途中、佐貫に立ち寄ったおり、その前年から度重なる地震や台風、飢饉疫病といった状況の中で苦しむ人々のために三部経千回読誦を思い立ったという出来事が記されています。
宗祖にとってそれはまさに自力執心の行為であったかもしれません。しかし、避難所生活の中で千回読誦を思い立った親鸞聖人のお心がよくわかりました。その読誦する姿と声にどれだけの人が癒されたことでしょう。そこに「聖人」としての宗祖の生き方があるように思います。人々と共に生き、時には共に苦悩しながらともどもに念仏を喜ぶ。その姿こそが、私がこの震災の中で出遇った宗祖としての親鸞聖人でありました。