2022.05.05
原発問題班の現地学習を4月18日から20日までの2泊3日の日程で青森県下北半島において実施いたしました。下北半島は北海道にも近く、また原子力施設が数多く建設されている場所です。
今回は本州最北端の大間町にある『あさこハウス』と、東通村にある東通原子力発電PR施設『トントゥビレッジ』、そして原子力燃料サイクル施設のある六ケ所村を訪問しました。
『あさこはうす』とは、大間原子力発電所の建設予定地に土地を所有していた今は亡き熊谷あさ子さんが「海とこの土地があれば生活ができる」と土地の売却を拒否してログハウスを建て住み続けていた家のことです。現在は、娘の熊谷厚子さんがあさ子さんの思いを継いで住まわれていますが、所有する土地以外の原発予定地では建設が進められ、家までの道路を残してフェンスで囲まれています。またライフラインも通っていないため、太陽光と風力で電気を作り、水は雨水を有効利用する生活している熊谷厚子さんの「一緒に生活をしている犬や鳥たちがいのちの大切さを伝えてくれる」との言葉が印象的でした。
次に訪れた原発PR施設の東通村の『トントゥビレッジ』や六ケ所村の『原燃PRセンター』では職員の方が原子力発電の構造と安全性だけでなく、福島第一原発事故の教訓を生かして、火災に備えた緊急対応や津波による設備強化に努めていると丁寧な説明を受けました。また遠くからではありますが核燃料サイクルのため、使用済核燃料の再処理をおこなう再処理工場(建設中)や一面に広がるソーラーパネル、そして数えきれないほどの風力発電の風景は、当たり前に電気を使用している生活の在り方を考えさせられるものでした。
また六ケ所村に在住の菊川慶子さんと隣町で農業を営んでいる荒木茂信さんにお話を伺いました。お二人からは、原子力施設の話が持ち上がってからの町の移り変わりや賛否による住民の分断の経緯、原発を反対する思いを聞かせていただきました。その中で反対をしている方の身内が建設現場で働いていることや、働いている方であっても核燃料サイクルが現実的ではないとの思いを持ちながら建設現場で働いていることなどを伺い、原子力関係には国策や電力会社だけではなく、そこに働く人や地域に住む人、一人一人に複雑な思いが混在しているのだと感じました。
函館に住む私は今まで海を隔てた下北半島を当たり前のように見てきましたが、今回はじめてその地を訪れ、そこに住む人や生活に触れることにより「出会い知ることが出来た」私はこの気付きにより、今まで見ていた風景の見方が大きく変わる今回の現地学習となりました。
(原発問題班 鷲山 舞)
【あさこはうす】
【トントゥビレッジ】
【菊川慶子さんと荒木茂信さん】
【菊池さんと荒木さんと班員の集合写真】
【六ヶ所原燃PRセンター】