2022.05.13
4月20日~22日まで、ハンセン病問題班は現地学習会で青森市へ行きました。ハンセン病問題班は毎年、青森市の国立ハンセン病療養所松丘保養園に訪問し回復者との交流を継続してきましたが、このコロナの影響で一昨年・昨年と訪問ができずにいました。今年も園内への訪問と交流には許可が出ていませんでしたが、園の敷地内外を散策するだけでも有意義な学習となるであろうと判断し、青森での現地学習会を決行しました。
1日目は青森市に到着後、現ハンセン懇委員の本間義敦氏のご自坊である蓮心寺様へ移動し、永年ハンセン懇委員をされていた奥羽教区理念寺住職本田雅章氏よりお話を伺いました。ご自身がハンセン病の療養所へ訪問するきっかけとなった回復者との出会いやその後の交流活動をお聞きし、周りの人を巻き込みながら活動を続けていく事の大切さを教えていただきました。また、国策としての強制隔離政策、それに追従する形で行われてきた大谷派の慰問布教の問題性にも触れ、「一生かけて償っていく、これが使命だと思う」と言われた言葉に、我々一人ひとりが背負う重い責任を感じました。
2日目午前は前日と同様に蓮心寺様をお借りして、松丘保養園に籍を置きながら園外に居住されている回復者で陶芸家の木村龍一氏と、学芸員として園に勤務する澤田大介氏からお話をお聞きしました。木村氏からは手先に後遺症を抱える回復者の生活上での苦労や、今もなお続く国や園に対する戦いの実情をお聞かせいただきました。澤田氏からはハンセン病の概説や国の隔離政策の遍歴、療養所での生活実態と今後の課題など、丁寧なご説明をしていただきました。
午後は会場を移動し、オンラインで松丘保養園自治会長佐藤勝氏より講演をいただきました。ご本人が隔離される当時の様子や現在のご家族との関係など、当事者の生のお話を聞かせていただけた、大変貴重な時間となりました。
その後、一同松丘保養園へ移動し納骨堂の前での勤行と敷地内の散策をしました。園内に植えられた満開の桜が美しく、どの木々にも手が加えられ整備が行き届いていました。園内の納骨堂には綺麗にお花が供えられ、ガラス越しに見える千を超える骨壺も整然と並べられ、とても大切に管理されている事が伺い知れました。骨壺に収まる方々は強制的に隔離され、もう一度故郷に帰りたい、家族と会いたいという思いを抱えながら命絶え、お骨となっても家族のお墓に入ることが許されなかった方々です。その事実を重く受け止めながら、一同勤行をさせていただきました。
3日目には市内にある棟方志功記念館を訪れ、青森が生んだ世界に誇る板画家・棟方志功の作品を鑑賞しました。その後は青森駅周辺を散策し、青森空港から帰路に着きました。
2泊3日の日程中にお会いできた方々とのご縁に感謝しつつ、一方ではコロナによって実現できなかった入所者との交流に口惜しさが残ります。今回の現地学習会以前は松丘保養園に「行かなくてはならない」と思っていた私でしたが、今は「また行きたい」と率直に思っています。教化委員会としての一つの事業は終わりましたが、私にとってはここがスタートだとも感じています。
(ハンセン病問題班 畠平諭)
【講義をされる本田雅章氏】
【木村龍一氏と陶芸作品の湯呑】
【松丘保養園 満開の桜の中を歩く】
【園内納骨堂 ガラス越しに並ぶ骨壺が見える】
【棟方志功記念館 有名な『二菩薩釈迦十大弟子』】