2023.06.09
6月5日18時30分より、旭川市民文化会館(小ホール)を会場に「第41回政教分離を守る北海道集会」が開催されました。本集会は浄土真宗やキリスト教、平和運動フォーラム等様々な立場にありつつ平和を願う人々が、旭川護国神社例大祭に際し、日本国憲法に謳う政教分離の原則に違反する事例があるのではないかという問題を学び、発信する集会です。大谷派からは靖国問題研究部会の実行委員を中心に参加し、本年は約100名(主催者発表)が集う会となりました。
今回は「憲法というヴィジョン~政教分離原則が照らし出すこと~」という講題のもとに、恵泉女学園大学教授の齋藤小百合氏より講演をいただきました。講演ではまず、先般開催されたG7広島サミットで用いられた「ヴィジョン」という言葉や、「法の支配」という言辞について、言葉の誤用があるのではないかという指摘から始まりました。詳しい内容の紹介は致しませんが、私たちも人前で話したり文章を書いたりする際、言葉を正確に押さえているか、問われたように思います。この他、内容は多岐にわたりましたが、特に人と人の間には相違がある、その中で「個人として尊重される」(日本国憲法13条)ために法があるのだ、という指摘には、真宗の教えに通ずるものがあると感じました。熱気に満ちた講演会の空気に触れ、身が引き締まったことです。
昨年も同様のことを記しましたが、私たちはたまたまお寺に身を置く真宗の僧侶であって、活動家や批評家ではありません。どこまでも「愚禿」を標榜する宗祖親鸞聖人や一切衆生とともに、どんな人も軽く見ない本願念仏の道を歩む一人です(もちろん、問題解決のために尽力されている方を批難するものではありません)。その一人として、政教分離や憲法といった現実の問題から目を背けることなく、かえってそれらに振り回される自己の信心を聞き開いていく。そのようなスタンスを忘れないようにしたいと思います。
(報告者:足利 智文)