2月17日14時より差別問題研究部会の第4回実行委員会が開催されました。今回は、学習テキスト『再考「北海道開拓・開教」の150年』の編纂に中心的に携わった澁谷真明先生に講師としてお招きし、部会内学習会を行ないました。
講義の内容としましては「今、『北海道開拓・開教』から問われていること」という講題のもと、まず「北海道開拓・開教」の大きな動因となった近代以降の帝国主義、植民地主義が現在も続いているのではないかという問いが提起されました。また同時に、それが大谷派教団の「同朋会運動」と大きく結びつくとの認識から、教団に身を置く私たちの今日的課題を明らかにする内容の講義となりました。
「同朋会運動」を内容づける三つの視座として、①実存の回復(個人の面から)②僧伽の回復(教団の面から)③近代の超克(時代呼応の面から)があげられました。その視座を、学習テキストに拠りながら「真俗二諦」、戦争協力を押し進めた教団の歴史、植民地主義と海外開教との関連について確認がなされました。
講義の結びには、同朋会運動の現在地として、科学技術や経済成長の絶え間ない伸張が人間社会の幸福をもたらすという「理性至上主義」に基づく人知万能主義の信仰から、「如来の智慧」への帰入を社会に呼びかけることを願いとしている。また真宗門徒のアイデンティティーである「聞法」が、その実、自己と世界とを貫く問いを明らかにするためのものであることを、どこまで意識化できているかという課題を提示してくださいました。
「北海道開拓・開教」の150年、私たちは近代国家の要請に積極的に関わってきました。この歴史を厳粛に受け止め、真摯に向き合う際に、その重みをどれだけ感じ取れているかを部会員各人が深く問われる機会となりました。
(報告者:照山 大暁)