2025.03.26
2025 年3月5日(水)~7日(金)、2泊3日の日程で『原発問題班 現地学習会』を実施しました。視察場所は、茨城県東海村に在る真宗大谷派寺院「願船寺」様をはじめ、「東海村歴史と未来の交流館」「東海第二原発周辺」「 東海村JCO臨界事故現場」や、宗祖親鸞聖人の御旧跡寺院であります。
初日は願船寺様に赴き、ご住職であられる藤井学昭氏をはじめ、元東海村村長の村上達也氏、原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)元職員の須崎武則氏、元東海村議員の村上孝氏、そして願船寺ご門徒の方々とともに、「JCO臨界事故」と「原子力発電」に関わる諸問題について座談会を行いました。
座談会では、臨界事故の問題に加え、立場の異なる者同士の対話における課題について議論がなされました。「相手の立場に寄り添うことの困難さ」「衝突を避けたいという心理」「自分の生活を最優先する人間の本質がある以上、話し合いが平行線のまま解決の糸口が見えてこない」など、 原発問題には解決が困難な課題が内在していることを再認識させていただいたと同時に、「いつか誰かが解決してくれるだろう」という自身の他責的な姿勢を気付かされました。その上で、「決して諦めることなく、問題に関心を持ち続けること」「 どこまでも事実の上に立つこと」という声が印象的でありました。
2 日目は藤井学昭氏に御同行いただき、「東海村歴史と未来の交流館」を訪問しました。ここでは学芸員の方より、東海村の歴史に「原子力」がどのように関わっていたのかを、ご自身の体験を交えながらお話いただきました。
また館内展示において東海村の歴史を辿る中、「この日本(くに)で 初の原子の 火を灯せし 偉業消すこと 能わず永遠に」という短歌に目が留まりました。原子の火が灯ったという事は果たして「偉業」なのでしょうか。「偉業」という視点で「原子力」を捉えてしまったとき、原発に内在する問題は見えにくくなってしまうのではないかと感じました。
その後、「東海第二原発周辺」と「JCO臨界事故現場」にてフィールドワークを行い、都度藤井学昭氏よりお話を聞かせていただきました。臨界事故の恐ろしさ、原発近郊の独特な雰囲気を肌で感じ得ることができたかと思います。
最終日は、宗祖親鸞聖人の御旧跡にあたる、真佛寺(水戸市)、西念寺(笠間市)、板敷山大覚寺(石岡市)、唯信寺(笠間市)を巡り、現地学習会は終了しました。
自身の生活に直結している「電気」とそこに関わる「原子力」の問題は、コンセントの先にある電気が生み出されてきた背景を見失いながら電気を消費し求め続ける私の現実があらためて問われた研修でありました。
(実行委員:黑萩 貴仁)