2025.05.02
2025年4月23日から25日まで、現地学習会として沖縄を訪れました。沖縄は日本における唯一の県民を総動員した地上戦が行われた場所です。戦争の悲惨さや、それを起こす人間の愚かさを学ぶべく、さまざまな場所を訪ね、現地の方々からお話しを聞かせて頂きました。
【初日】平和祈念公園・佐喜眞美術館
平和祈念公園
戦争の犠牲になった方々一人ひとりの名前が彫られている記念碑にお参りしました。
その後、歴史を学ぶ資料館を見学し、語り部の方からお話しを聞かせていただきました。
語り部の方が、「戦争は人間が人間でなくなる」と言われていたのが印象的でした。
また、集団自決は「生きて虜囚の辱めを受けず」という「戦陣訓」を強制され、住民も役所も兵士と同じように命をかけて国を守れという「軍官民共生共死」という指導方針により住民が米軍に投降することが許されなかったために起きたと教えていただきました。
佐喜眞(さきま)美術館
地上戦の体験者の証言を直接聞いて描かれた「沖縄戦の図」(丸木位里・丸木俊)などの絵を鑑賞し、館長からお話を伺いました。滋賀県から修学旅行で来ていた中学生たちとたまたま一緒に聞くことになり、館長のお話をメモに取り真剣に聞いている学生さんたちは、終演後も積極的に質問している姿に驚きを感じました。美術館で行われたミニコンサートにも参加し、沖縄の唄を楽しむことができました。
【二日目】チビチリガマ・シムクガマ・「さとうきび畑」歌碑広場・嘉数高台公園・ひめゆり平和祈念資料館
集団自決が行われたチビチリガマと集団自決の行われなかったシムクガマを訪問しました。ガマは暗い洞窟のようであり、こんなところに隠れていたのかと実際に体感することができました。
チビチリガマを取材中の琉球新報の記者から、集団自決の悲劇を残し、反戦の証として建立された「チビチリガマ世代を結ぶ平和の像」(金城実)が、反感を持った者に破壊されたという事件があり、その後修復を願って寄付が集まり、再建された経緯を聞かせていただきました。
また、チビチリガマを荒らした4人の少年が警察に捕まった事件があったこと、そしてチビチリガマとはどういう場所なのかを知らずに荒らした少年たちに、それを教えてこなかった大人の責任として、金城実氏が凄惨な歴史を教えたというお話を聞かせていただきました。歴史を教えられた少年たちは、無知であり遊び心でしてしまったことを反省し、小さな仏像を制作したそうです。その仏像がガマの周りで祈るように手を合わせている姿も見ることができました。
その後、「さとうきび畑」歌碑広場を訪れ、歌碑を前に当時の情景を想像し、参加者全員が静かに見入る時間を持ちました。
午後からは、嘉数高台公園、ひめゆり平和祈念資料館へ行き、映像や文章で多くの証言を見聞きし、時間の不足を感じるほど心に深く響く体験でした。
【三日目】沖縄別院参拝
沖縄別院へ参拝し、ご輪番から一時間ほどお話しを聞かせていただきました。沖縄は異国とされ皇民化教育が強かったこと、琉球に「支配イデオロギーでない宗教」として真宗が伝わり、海運業の方々が昆布と共に真宗を人から人へと伝えていったのだということをお話しくださいました。
この三日間で印象的だったのは、ただ史跡を「見る」だけではなく、現地の方々の生の声を「聞く」ことで、風景がまったく別のものに映るということです。事前調査や現地の説明板、語り部の体験談を重ね合わせることで、戦争の実相がより鮮明に響いてきました。
また、「何かのため、誰かのため」という人知を疑うことなく生きることがどれだけ危ういことなのか、そして人はどれほど残酷になり得るのか ― その問いを突きつけられる学びの場でもありました。
ある証言者が「そういうものだと思っていた」と語った一言が、今も胸に重く残っています。
(報告者:宝喜 智明)