2025.11.15
2025年10月23日14時より、差別問題研究部会の第2回実行委員会(部会内学習会併催)が開催されました。今回は、講師に葛野次雄師(アイヌ文化伝承者)をお招きし、講義をいただきました。
葛野師は講義の冒頭、「北海道」という呼称そのものに蔑視の意味が込められていると指摘されました。それは、幕末の冒険家である松浦武四郎らが行った「命名」や「探検」が、無人地への進出ではなく、すでに人々が生活していた土地への介入であり、「名をつける」という行為そのものが、アイヌの人々の土地・言葉を奪う歴史の象徴であると述べられました。
明治2年8月15日の太政官布告により、アイヌモシリ(「北海道」以前の地名)は一方的に日本国領とされ、アイヌ民族は合意もなく法的に「旧土人」と区分されました。明治32年に「旧土人保護法」が制定され、生活保護や福祉政策の名のもとに土地の収奪と管理が進められていきましたが、葛野師は、こうした政策は「保護」とは言うものの、それはあくまで名目にすぎず、それまでのアイヌとしての生活、文化、言語がことごとく奪われ、「同化政策」に組み込まれていったと説明されました。また、アイヌは常に生活困窮者として扱われ、昭和初期以降の福祉対策金や生活館(資料館やアイヌ文化施設)の建設も、本来の支援ではなく、行政側の都合に合わせた保証でしかないと指摘され、それが現在も続く問題であると語られました。
今回の講義を通して「開拓」や「共生」といった言葉が、いかにアイヌの人々の痛みを覆い隠してきたかを、当事者の言葉を通して実感する内容であり、部会員も歴史の事実を知るだけではなく、私たちが何を問われているのかを考えさせられました。
過去に奪われた名と土地、そして尊厳を取り戻そうとする深い願いは、現にこの地に生きる者として、共に歩む道を探っていきたいと感じました。だからこそ、私たちが問われる課題を担うことこそが、この第9期差別問題研究部会における学びであると胸に刻みながら、その課題を部会内で共有していきたいと思います。
(報告者:照山 大暁)