2026.01.26
第9期差別問題研究部会の最終年度にあたる現地学習会が、2025年12月18から19日にかけて、「阿寒湖アイヌコタン」にて実施されました。今回、阿寒に現地学習の地として設定した理由は、阿寒町出身で阿寒湖アイヌコタンに民芸店を開業され、阿寒アイヌ工芸協同組合、阿寒アイヌ協会、阿寒アイヌ民族文化保存会に所属し、芸術活動や文化保存・伝承活動、さらには文化講演など多岐にわたる分野でアイヌ文化の理解促進に尽力されている秋辺日出男氏にお会いし、直接お話を伺いたいと考えたからです。
初日は、秋辺氏より講義をしていただきました。和やかな雰囲気の中、私たち和人が無意識のうちに持っている固定的な考え方を、さまざまな視点から見直すきっかけとなるお話を伺いました。中でも強調されていたのは、アイヌのことを理解するにあたって、差別の歴史だけを取り上げても理解は深まらず、アイヌ文化を学ぶことが不可欠であるという点でした。そのキーワードとして「ハッピーからアンハッピー」をあげられました。まず、アイヌにはすてきな文化と生き様があるということ(ハッピー)を知り、そこから差別の歴史があるということ(アンハッピー)に少し触れる。そして、それ以上の学びは、一人ひとりが自ら深めていけばよい、という指摘でした。秋辺氏は、映画出演などの経験を通して、映画という「作り物」が何を伝えようとしているのかを考え、アイヌ文化と映画をつなぐ役割を果たすことで、ようやくアイヌへの理解が広がってきたと語られていました。
また、人類の歴史において血統によって明確に人種を分けることはできないという現実を踏まえ、混血(ハイブリット)によって、新たなオリジナルが生まれていく、という視点を教えていただきました。それは、私たち和人がどことなく抱いている「単一民族」という概念を考え直す視点でもありました。秋辺氏が「あなたは何民族ですか」「あなたは何人ですか」と私たちに投げかけた質問は、即座に答えられない私たちの根底にある問題を浮き彫りにする問いかけでもありました。
「差別に打ち勝つためには文化が大事」と力強く話された秋辺氏の言葉に、アイヌ文化にこそアイヌ民族の精神が息づいているのだという情熱を感じさせていただいた講義でありました。
二日目には、阿寒湖アイヌコタンの民芸店などを視察し、時間をかけてアイヌ文化に触れることができた、充実した現地学習となりました。
(報告者:竹村貴士)